Road to Early Retirement ~早期退職への道~

早期退職を考え始めた50代半ばのおっさんの日記 / コロナウィルスの影響で失業後、再就職。2年後に役職解任

誰も信じるな 〜 映画『国家が破産する日』の感想

今年の年末年始は田舎への帰省を控え、13年振りに東京で年越しをすることにしました。元日はサッカー天皇杯決勝を観戦しましたが、テレビは駅伝を観る妻にほぼ占領されているので、部屋に籠もってPCで映画を観ることにしました。

丁度タイミングよく、日経新聞で『投資お役立ち目線 年末年始の巣ごもり映画ガイド』という記事があったのでそれを参考にして、韓国映画国家が破産する日』を鑑賞しました。

日経新聞お薦めの投資関連の映画

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日経新聞『投資お役立ち目線 年末年始の巣ごもり映画ガイド』より転載

1997年 韓国で何があったのか?

この映画は韓国を襲った1997年のアジア通貨危機の史実を題材にしています。史実を素にした半ドキュメンタリーという感じでしょうか。ざっくりいうと韓国が国家経済を立て直すためにIMF国際通貨基金)に支援を求めるまでの軌跡を

  • 韓国銀行通貨政策チーム長
  • 国家の危機を好機とみて、一攫千金にかける元銀員
  • 約束手形での支払いを受け入れてしまった町工場の社長さん

の3人の視点で描いています。

当時の自分は?

私自身は1997年当時は社会人8年目で、30歳になった頃です。もちろん大きなニュースとして記憶にはありますが、自分自身の身に何かが起きたという感覚はありません。韓国国民が家庭に眠っている金(Gold)を集めて外貨を稼いだというニュースが何故か記憶に残っています。

 今に活かせる教訓はあるのか?

この映画が公開されたのはIMFによる救済が行われてから約20年後の2018年で、映画の最後の方でこの20年後が描かれていますが、そこで語られるのは「韓国は通貨危機から何も学んでいない」というセリフです。実際には何も学んでいないというよりは忘れてしまった、あるいは時代が一回りして当時のことを知らない世代が社会の中心になっているということなのだと思います。

通貨政策チーム長や元銀行員は金融の専門家なので、ある程度、経済の不健康さを察知できるのかも知れません。実際、元銀行員はラジオ番組に寄せられる「生活が苦しい」といった声を察知して国家破綻に賭ける投資を始めます。

一方、町工場の社長さんのような市井の一市民はいつの時代もその時の情勢、雰囲気に流されてしまい、国が破綻するまで気づかないのではないでしょうか。町工場の社長さんの20年後は工場を手放すことなく再建できたようですが、就活真っ只中の息子に「誰も信じるな!自分だけ信じろ!」と言い放ち、中東から来たと思われる出稼ぎ労働者には「集中しろ!」と叱り飛ばします。学ぶってそういう事だよと言ってしまえばそれまでですが、映画の前半では情に厚いキャラクターとして描かれていた社長さんがこういう描かれ方で終わるのもやるせないです。

この手の映画は洋画でも他にもあるかも知れませんが、(1)隣の国で実際起きたこと(2)日本人と容姿が似ている韓国人が演じているということもあり、自然と心の中にスッと入ってきました。日経新聞が勧める他の映画も機をみて鑑賞してみようと思います。

(了)