予備校の説明会で判った通訳案内士の現実
10月27日にF通訳アカデミーの主催する『通訳ガイド試験攻略無料説明会』に参加してきました。
『全国通訳案内士(通称通訳ガイド)』を副業として考えた経緯は以下の通りです。
当日は私を含めて5名の方が参加していました。私は2015年に一度、通訳ガイドの試験を受けています。当時は年々増加する外国からの旅行者、2020年の東京オリンピックを控えて、どんどん通訳ガイドにスポットライトが当てられ、どんどん受験する人が増えるものと思っていました。でも、今回参加した説明会でわかったのは、どうやら数年前からだいぶ状況が変わっているようです。
試験の難化と合格率の低下
まず、今回の説明会で知ったのですが、私が前回受験した2015年当時から、試験自体に以下の変更がされていました。
- 新しい科目『通訳案内の実務』を追加
旅行業法や旅程管理に関する基本的なことが問われるようです。まあ、これは通訳ガイドと言えども添乗員の様な業務も求められるようなので、納得はできます。 - 英語一次試験の免除条件の引き上げ
私が2015年に受験した時はTOEIC 840点以上あれば、英語一次試験が免除されていました。私は900点以上取れていたので、他の歴史・地理・一般常識の科目に合格すれば良い状況でした。ところが、なんと2019年にはTOEIC (Listening and Reading Test)について言えば、900点以上に引き上げられています。
私は暫くTOEICを受験していませんが、840点なら今でもなんとかなると思いますが、900点以上となるとTOIEC試験対策をしないと多分無理です。通訳ガイドの英語一次試験を免除されるためにTOEIC試験対策をする。。。何か本末顛倒感がありますが、それでも自分にとっては通訳ガイドの癖のある英語一次試験対策するよりはTOEIC試験対策をした方がパスする可能性が高そうです。 - 合格率は2015年と比較して約半分に(英語)
英語を対象とした場合、2015年の合格率は21. 5%、2019年はたった10.1%です。わずか4年の間に合格率が半分になる国家試験って他にあるのでしょうか?司法試験や医師国家試験でこんなに合格率が振れたら大ニュースでしょうね。
一体、自分が知らない4年の間に何が起きたのでしょうか?
どうやら2018年に法律が改正され、『通訳案内士の業務独占規制が廃止され、資格を有さない方であっても、有償で通訳案内業務を行えるようになる』ということになったようです。つまり、通訳案内士という難しい国家資格を取らなくても、商売として外国人旅行者に対して、通訳をしながらのガイドができるようになったということのようです。なんじゃ、そりゃ? 何か規制緩和して通訳ガイドが独占していた業務を開放したように聞こえますが本当にそうなのでしょうか?
そもそも、観光庁が『通訳案内士の資格取得者の4分の3が、その資格を活かしていない』、『活用している人もその多くが他の仕事との兼業であり、専業は6%程度。』って認めちゃっています(通訳案内士の就業実態等について 国土交通省 観光庁 観光資源課 平成26年12月)。
まとめ
説明会から帰って、家で色々調べて感じたのは以下の通りです。
- 取得しても専業として食っていけない国家資格
- インバウンド景気の恩恵にあずかりながら、注目を浴びない職業
- 若い人がこぞって取得を目指す資格になっていない
何か国家資格としての設計に狂いが出ているというか、国家資格として終わっている気がしてしまいました。それに説明会の中で気付いてしまい、すっかり通訳ガイドに対する意欲、関心がしぼんでしまいました。私の中では副業としての通訳ガイド、アーリーリタイア、セミリタイヤ後の社会貢献できる仕事の可能性は無くなりました。