Road to Early Retirement ~早期退職への道~

早期退職を考え始めた50代半ばのおっさんの日記 / コロナウィルスの影響で失業後、再就職。2年後に役職解任

母の旅立ち

キャンドルの無料写真

今年の2月に母が亡くなりました。後少しで90歳になろうというところで、天国に旅立ちました。怪我をきっかけに車椅子の生活になり、一年程前から施設に入っていました。施設では食欲も旺盛で元気だったようですが、今年に入って急に体調を崩し入院をして、そのまま回復することなく旅立ってゆきました。

施設に入ってから一年間、コロナのこともあり面会も出来ない状況だったので、母とちゃんと話せたのは自分が会社をリストラされた3年前のことです。電話口では自分が仕事を失ったことを心配してくれていました。父親を早く亡くして女手ひとつで自分を育ててくれたというのに、親孝行らしいことは殆どできませんでした。そんな親不孝な息子をどんな風に思っていたのでしょうか?

容態が急変したので、最期の死に目にも会えず、ありがとうのひとつも言えませんでした。なにより自分自身が仕事の事でいっぱいいっぱいで母親のことに気が回らなかったことが悲しくもあり、自分が腹正しいです。常々、ピンころりと逝きたいと考えていたようで、何年も病魔に苦しむことなく往生したのは本人も喜んでいるのではと考えるのは身勝手でしょうか?

遺品を整理していると、年金事務所で過去の納付状況について話す時に使ったと思われるメモを見つけました。母が父と結婚する前、自分を身籠もる前に働いていた会社名がリストされていましたが、そもそも母が自分の母親になる前にどんな仕事、生活、青春時代を送ってきたのか、父とはどのように出会ったのかなどを聞く機会もありませんでした。母の兄弟、姉妹も既に亡くなっていたり、高齢になっているのでそのような事を聞く機会も限りなく失われつつあります。

母は世の中的には平凡な主婦として一生を終えました。戦後からの日本の高度成長期を生きており、社会に名を刻む偉業を残した人ではありませんが、90年弱の人生のなかで心に響くストーリー、エピソードがあったのだと思います。それの一章、一節でも聞けなくなってしまったのは只々残念です。

私は50代後半に差し掛かり、運良く母のように90歳近くまで生きられたとしても後30年の余命。健康な身体で生きられるのは20年位でしょう。自分らしく生きれる時間はどんどん減っているという焦燥感があります。母の死は今後どのように生きてゆきたいのか?どんな風に人生最期の日を迎えたいのかを改めて考えるきっかけになっています。

(了)